・・・少し、僕の過去の話をします。
昔、就職難に追われて、本当に自分のやりたかったことさえも見失いながら、ただただ闇雲に就活するたびに腐っていく自分がいました。
「あー、キミ、大学も行かないでこんな認可の無い学校で遊んでたの?」とか「あなた、人としてダメね。」とか面接官に言われてもニコニコ笑うだけで何も答えれなかった自分が本当に空しかった。
遊んでなんか無い。朝早くに学校に来て作業をして、夜遅くまで残って不器用ながらも作品を作っていたんだ。
グループ制作で独りになってしまった時、心が潰れそうになりながらも、最後まで諦めずに作業していたんだ。
その内、段々自分のやりたいことを見失っていった・・・。
数々の作品たちも、完成出来ずに行き詰って終わる毎日を過ごしていた。
そのままずるずると学校を卒業して、ふと自分の時間が取れた時、本当に自分の愚かさに気が付いた。
目の前に、身体が弱って入院していた祖母と、散歩に行けないほど衰えた愛犬がいた。
本当に、全然気付けなかった。
祖母は既に僕が誰なのかも分からないほどボケてしまい、抗がん剤による身体の変色が目に痛々しかった。
「家に帰りたい。」
と言う祖母に
「もうすぐ家に帰れるから、頑張って。」
としか言えなかった。
その後、祖母はすぐに亡くなってしまった・・・本当にあっけなかった。
葬式では知らない人ばかりいたが、僕の涙は止まらずにただただ泣くばかり・・・。
周りから大の男が泣いてるんじゃないと思われても感情が抑えられない。
とにかく、心の中でひたすら叫んでいた。
(おばあちゃん、気付けなくてごめんね・・・と。)
愛犬も、歩けなくなってしまい、死期を察したハエたちが、愛犬にたかっていた。
ハエが付かないようにネットを張ったりもした。
もう、水もご飯も食べてくれないほど弱ってしまい、少し暑い日ざしが愛犬の体力を奪っていく。
夜中は寂しいのか、か細い声で愛犬の遠吠えが聞こえる・・・。
愛犬の小屋に行くと、どうやって動いたのか分からないけど、小屋から出てしまって無理な体勢で苦しそうにうずくまっていた。
散歩に行きたかったのだろうか?
愛犬を抱えて小屋に戻してやった。
軽い・・・骨と皮になってしまっていた。
朝になっても遠吠えは続いていた。
小屋に行って見れば、やっぱり小屋の外から出てうずくまっていた。
前はよく、愛犬がどう思っているのかを当てることが出来たのに、愛犬が取っている行動が全く読めない。
本当に悲しくて、空しかった。
そして、小ぶりの雨が振っていた朝に、愛犬は亡くなっていた。
やっぱり、小屋の外に出てしまい、冷たい雨に打たれていた・・・。
自分のことで精一杯だった僕は、身近にいたはずの大切なものが弱っていたことに気付けなかった。
「・・・もう絵は描かん!CGもやらん!」
唐突にそう思った。
もうとにかく、頭がクシャクシャな想いでした。
そして、僕はクリエイターの道を捨てました。
真面目にやってきたことは、もしかしたら真面目では無かったかもしれない・・・。
そんな気持ちで再スタートした僕でしたが、学歴が良くないし、作った作品を持ち込んだりすることが無かったので、どこかに就けるはずもなく、ただただ時間を浪費するばかり・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・部屋掃除をしよう。」
何となく始めた部屋掃除。
その時、卒業前に買った学生版のLightWave v9が出てきた。
何だか、いろんな事を思い出して、急に学生時代が懐かしくなった。
辛かったこともあったけど、楽しかったこともあった。
・・・少し、気分転換にやってみようか。
ホコリを被っていたLightWaveを綺麗にして、半年振りにLightWaveを触る。
学生時代に使っていたLightWave6.5とインターフェイスの仕様が変わっていたのでモデリングやアニメーションなど手間取った。
「ん?あれ?UV展開ってどうやるんだっけ?」
「IKってどうやるんだっけ?」
「・・・ふふっ、あかん。大分、腕が落ちたなぁ~。」
久しぶりに素直に笑った。
不恰好な作品が出来上がったが、やっぱり何かを作るのは楽しい。
やっぱり、僕のやりたかった事はこれで合ってたんだろうな・・・。
物置に閉まっていた古ぼけた画材道具や参考書も引っ張り出した。
どれも懐かしい物ばかり・・・昔の絵も出てきた。
自分の笑った自画像が出てきた・・・こんな笑い方しないよって笑い返した。
うん・・・もう一度、自分の生き方で生きてみよう。
何か、素直にそう思った。
心が楽になった瞬間でもあり、確かな道を作り始めようとした瞬間でした。
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・・・・・・・・・・・。
・・・・・・。
あれからもうすぐ2年になろうとしています。早いものですね。
急がず焦らず、自分なりに頑張って、勉強して、実践して、失敗しての繰り返しでしたが、何とか昨日、ウェディングムービーOPが完成しました。
【ウェディングムービー/オープニング】
この制作では本当にいろんなことを学ばされました。
そして、様々な方からの支えもあって無事に完成することが出来ました。
本当にどうもありがとうございました。
まだまだ技量不足なところがありますが、これからも自分の向かうべき道に向かって歩いていきます。
走るのは時々にします。学生時代の時みたいに失敗はしたくないので・・・。
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